「強い心」は手に入れられる
スポーツを始めたばかりの君、大事な試合で緊張してしまったり、ミスを引きずってしまったり、「自分はメンタルが弱いな…」と感じたことはありませんか? 大丈夫。この記事は、そんな君のために書きました。
結論から言うと、「強い心」は生まれつきの才能ではありません。正しい知識とトレーニングで、誰もが育てることができるのです。
この記事では、トップアスリートが持つ「強い心」の秘密を解き明かすために、2つの重要な心の要素を解説します。それは「負けず嫌い」と「自己肯定感」です。
「強い心」を支える2つの柱:「負けず嫌い」と「自己肯定感」
オリンピックで金メダルを獲得するようなトップアスリートたちには、必ず共通する心の要素があります。それは「非常に負けず嫌いな性格」と「自己肯定感の強い性格」です。このどちらか、あるいは両方の性質がなければ、世界の頂点に立つことはできません。
アスリートのタイプは、主に以下の2つに分けられます。
| タイプ | 特徴と心の強さ |
| 叩き上げタイプ | 「周りに負けたくない」「自分に負けたくない」という思いで努力を重ねる**『負けず嫌い』**の性質が強い。 |
| エリートタイプ | 幼い頃から活躍し、「自分ならできる」という自信に裏打ちされた『自己肯定感』が強い。 |
もちろん、これはどちらか一方だけということではありません。多くのトップアスリートは、この両方の性質を高いレベルで兼ね備えています。「自分は叩き上げタイプだな」と思うかもしれないし、「エリートタイプかも」と感じるかもしれない。大切なのは、どちらが良い悪いではなく、自分の今の心の『現在地』を知ることだ。そこから、君だけの「強さ」を育てていこう。
では、この「負けず嫌い」や「自己肯定感」は、具体的にどのように選手の成長を後押しするのでしょうか。その鍵は**「悔しさ」という感情にあります。
![]() |
新品価格 |
成長のエンジン:「悔しさ」をエネルギーに変える方法
試合に負けたとき、君はどんな気持ちになりますか? もし「悔しい」と感じないのであれば、それは心のどこかで「どうせ勝てない」「負けても仕方ない」と思っている証拠かもしれません。
「負けず嫌い」や「自己肯定感」が強い選手は、「自分は勝つ」と信じて試合に臨みます。だからこそ、負けた時に非常に悔しい思いをするのです。そして、この「悔しさ」こそが、トップアスリートになるために不可欠な感情なのです。
「悔しさ」は、次の3つのポジティブな探求行動を生み出します。
- 「なぜ負けたんだ?」と自分に問え。 – 感情的になるな。敗因を客観的に分析するんだ。それが強くなるための第一歩だ。
- 「何が悪かったんだ?」と深く掘り下げろ。 – 自分の弱さから目をそらすな。課題を具体的に見つけ出すんだ。
- 「次はどうすれば勝てる?」と未来を考えろ。 – 悔しさを、具体的な練習計画や次の試合の戦略に変えるんだ。そのエネルギーこそが、ライバルとの差を生む。
このように、「悔しさ」は成長するためのエンジンであり、君を前へ進める大きな推進力になるのです。悔しいと思えたなら、それはもっと強くなれるチャンスだと捉えましょう。
この悔しさを乗り越え、何度も立ち上がってきた一人のプロサッカー選手の物語を見ていきましょう。
「となりの山田くん」
私は、となりの山田君という本を読み、感銘を受けました。
18歳で日本代表デビューをはたし、浦和レッズ、そして日本サッカー界の将来を期待された山田直輝選手。
しかし、度重なる大けがに見舞われ、何度も選手生命の危機に陥いりました。
小さくて足が遅いというハンディのなか、それでも乗り越え続け、デビューから18年経った今も、プロの舞台に立ち続けています。
いったい、彼がここまでプレーし続けてこられた理由は何なのでしょうか。
山田選手と小学生時代に出会い、つねにとなりから「ヤマダ君」を見てきた妻・A子と、山田直輝本人とが交互に綴った、家族の物語です。
直輝選手は、18歳という若さで日本代表に選ばれた「天才」です。
しかし、彼のサッカー人生は決して順風満帆ではありませんでした。彼は「体が小さく、スピードにも恵まれなかった」というハンディを抱え、さらにキャリアを通じて「度重なる大怪我」に苦しんできました。
特に彼のキャリアを大きく揺るがしたのは、「左膝前十字靱帯断裂」という大怪我でした。選手生命さえ危ぶまれる絶望的な状況。ファンからは、自宅の壁が埋め尽くされるほどの応援幕や、山のような千羽鶴が届きました。
そんな大きな期待とプレッシャーの中で、彼はどう自分を保ったのか。彼のことを中学時代から見てきた妻・A子さんは、当時の彼の様子をこう語っています。
「取り乱したり、周囲に怒りをぶつけたりすることもなく、ただ静かに、置かれた状況と向き合っていた」
彼のこの静かな強さは、まさに先程記述した2つの柱が絡み合って生まれるものです。
根底にある「自分なら必ずまたピッチに戻れる」という揺るぎない自己肯定感が、絶望的な状況を冷静に受け入れる土台となりました。そして、その土台の上で、「こんな怪我で終わる俺じゃない」という内なる炎、すなわち負けん気が、長く過酷なリハビリを乗り越えるための静かだが強力な原動力となったのです。
「負けず嫌い」について、山田選手は、「恋人を想う気持ち」に似ていると言っています。
恋人を誰にも奪われたくないという気持ちと、サッカーで負けたくないという気持ちが似ているということです。
サッカーが誰よりも好きだから、誰にも負けたくないという気持ちになれるということです。
負けず嫌いな性格は、サッカーを心の底から好きだという裏返しなのです。
山田選手のような強い心を、今度は君が育てる番です。明日から実践できる具体的な方法を紹介します。
今日からできる!「強い心」を育てるための2つの実践テクニック
テクニック1:目標の立て方を変えてみよう
試合の目標を「相手に勝利すること」だけに設定していませんか? もちろん勝利は大切ですが、それだけだと、格上の相手に負けたときに必要以上に落ち込んでしまいます。
大切なのは、自分のレベルに応じた小さな目標を立てることです。
例えば、高校野球で強豪チームと対戦するとします。 「勝利」だけを目標にするのではなく、「1点でも取る」「ヒットを1本打つ」といった、自分たちにできることを目標に設定するのです。
たとえ試合に負けても、この小さな目標をクリアできれば、それは確かな達成感になります。そして、「次はこうしよう!」という次の具体的な目標につながり、どんな相手にも諦めずに立ち向かうメンタルの強さが育ちます。
テクニック2:理想の自分を「演じて」みよう
トップアスリートは、「役割性格」という考え方を使っています。難しく聞こえるかもしれませんが、とてもシンプルです。
強い選手は、苦手なことや動揺する場面でも、「演じるべき自分」を明確に持っており、それを演じ切るスキルで乗り越えているのです。これは「嘘をつく」のとは違う。「理想の自分」という役を演じ続けることで、その役がだんだん本当の自分になっていく、成長のためのパワフルなテクニックなのです。
君も、理想の選手像を具体的にイメージしてみましょう。
- 「試合で緊張しない冷静な自分」
- 「ミスした仲間を励ますリーダーとしての自分」
- 「ピンチの時こそ声を出してチームを盛り上げる自分」
そして、練習の時からその選手になりきってプレーしてみてください。「理想の自分ならどう行動するか?」を常に考え、演じ続けることで、それは次第に君自身の本当の力になっていきます。

結論:君の成長は、ここから始まる
この記事では、トップアスリートが持つ「強い心」の育て方について解説してきました。最後に、重要なポイントを5つにまとめます。
- 「負けず嫌い」という炎を燃やし続けろ。 それが君を動かす燃料だ。
- 「自己肯定感」という土台を固めろ。 それが君の心を支える。
- 「悔しさ」を成長のエネルギーに変えろ。 負けた瞬間が、強くなるチャンスだ。
- 達成可能な「小さな目標」を立てろ。 小さな成功の積み重ねが、折れない心を作る。
- 理想の自分を「演じ」きれ。 振る舞いが、やがて本物の強さに変わる。
強い心は、一朝一夕に手に入るものではありません。日々の練習や試合を通じて、少しずつ育てていくものです。山田直輝選手のように、どんな困難があっても夢を信じ、自分を磨き続けてください。
君の挑戦を心から応援しています。
以上です。
ご一読ありがとうございました。



コメント